最近メディアで取り上げられるようになった更年期障害。最近は調査データが整い、その影響が分かってきました。
更年期女性の占める割合が日本に類似しているイギリスでは、すでに更年期障害について行政や企業が対応し始めています。そのきっかけとなったのが、イギリスの一人の女性、ダイアンさんです。
企業や自治体向けの研修・制度設計などを手掛け、社会活動も始めた筆者が、そのダイアンさんにインタビューをさせていただき、NHK WEBの記事でもご紹介いただいきました。
更年期先進国イギリスを前例として、今更年期障害の人に対して職場でどのように対応していくべきか、どのようにして離職が防止できるのか、をお伝えします。
こちらはYoutubeでもお伝えしておりますので、興味がある方は画面をTAPしてください
こちらの内容は Stand FM(前半) (後半) としてお伝えしてますので、耳からお聞きになりたい方はこちらからお聞きください。
更年期障害の職場におけるデータ
最近では、更年期障害に関する社会的データが整ってきて下記のような離職に関するデータも出ています。
気分の落ち込みや体の痛みなど、更年期にあらわれる症状が原因で仕事を辞めざるを得なくなる、いわゆる「更年期離職」を経験した人は、今の40代と50代で57万人に上るとみられ、それに伴う経済損失は年間でおよそ6300億円に達するという推計を専門家がまとめました。
介護による離職が2018年の経済産業省のとりまとめでは6500億円にのぼるとしているので、更年期障害による損失はほぼ同等とみなすことができます。
介護に関しては厚生労働省の介護救護法で、介護休業制度がありますが、更年期についてはまだ対策が打たれていないのが現状です。
更年期障害における職場影響
更年期による離職に関しては先に挙げたとおりですが、同時に更年期障害による「雇用劣化」についても調査がなされています。
この雇用劣化は
・更年期障害により降格になった
・更年期障害により昇進を見送った
・更年期障害により非正規雇用となった
などと定義されています。
雇用劣化、いわゆる「更年期ロス」に遭う40代、50代女性の推計人数は、33.1万人(低位推計)~75.3万人(高位推計)に達するとされています。
更年期先進国イギリスの事例から考える日本の今後
更年期先進国イギリスでは、2021年更年期について政府や企業が対応していく旨の法案が成立しました。背景としては、労働人口に占める更年期の世代の女性の比率の高まりと経済的損失、また労働力の確保のためともいわれています。
他方、こちらはイギリスと日本の更年期世代の比率を比較したものです。
イギリスが6.5%に対し、日本は7.4%となっており、日本の方が人口に占める割合が0.9ポイントほど高くなっています。
同時に、こちらがイギリスと日本の出生率の違いです。
一目見てわかる通り、日本は出生率が圧倒的に低下しており、将来に及び労働力確保と言った点においても非常に不利な状況です。
そうなった際に今から考えられる手段を講じておく必要があると考えられます。
更年期障害が他の女性の健康問題と違う点と企業ロスにつながる要因
更年期が他の女性の健康問題と比べて課題となる点が「当事者が更年期である」と気づきにくい点があります。
例えば、月経や不妊、妊娠・出産などの課題については、女性自身が「今課題を抱えている」という認識をしやすいのですが、更年期障害とは100~200の症状があるうえに、閉経前から症状が出るにも関わらず、いまだ
「閉経してからが更年期である」と思っている女性も多いのです。
そのため、事前対策ができていなかったり、不調になっても対策が遅れてしまい、休職や退職につながっていることが考えられます。
更年期の症状についてはコチラでお伝えしています。
企業が対応すべき3つのこと
ここで、イギリスなどの事例から考えて企業が対応すべき点は3つになります。
①当事者の教育
先ほどもお伝えしました通り、当事者自身が更年期に気づけないと医療にかかれない、という問題があります。
実際私も更年期の症状に悩まされてから「これは更年期かも」と受診するまでに時間がかかりました。そのうちにどんどん体調が悪くなってしまったのです。
ですから40代からの女性のキャリア研修の一環として更年期について学び、セルフケアや早めに医療につながることなどを教育していくことが大事になります。
②管理者への教育
これまでの企業研修でも99%以上の女性が、「管理者への教育を実施してほしい」と希望しています。実際イギリスでも管理者の教育をセットにして、両者間で業務調整を行っています。
理由としては、当事者だけ教育しても、結局本人だけが抱え込む形になってしまい、悩みを相談しにくくなってしまうからです。
他方、男性からも「更年期の話をどのようにしたらよいかわからない」という意見が大多数です。
両者で建設的な話し合いができるよう、マニュアルなどもありますので、そういったものを活用しながら休職や離職を防止していくことが大事になります。
また、管理職の男性は配偶者が更年期世代の可能性が高くなっています。実際配偶者の不調で男性の仕事に支障が出ることはあります。
職場のケアと共に、配偶者への影響を配慮するスキルを身に着けていくと、配偶者の不調による自身への影響を最小限にとどめることができます。
③制度設計
当事者、管理職の研修にプラスして、企業としての制度設計が必要となっていきます。
研修制度を企業として行う、両者間の調整を制度として作っていく、などしなければ、各部署のそれぞれの判断で実施されることになり混乱が生じます。
少なくとも両者間の調整会議においてマニュアルは必要です。
そういったことを含め人事における制度設計が大事になってきます。
③相談窓口の設営
更年期と思われる症状でも、状況に応じて最初に受診する診療科が違う場合があります。
また、深刻化する多くの人はメンタルにも影響が出てきたり、職場や家庭環境で問題を抱える人も少なくありません。
企業内に産業医を置くことも1つの解決策ですが、「企業に細かな悩みを知られたくない」という方も多くおられます。
そういった点でも、企業とも産業医とも独立した立場で相談できる窓口の設定は解決のカギとなります。
企業の更年期サポートをトータルで行う
上記で述べました
①当事者への研修
②管理職への研修
③制度設計
④相談窓口の設営
をすべてお受けできるのが(株)よりそるになります。
これまでもポーラ様、デロイトトーマツ様をはじめ企業・自治体への実績があり、国連広報機関UNOPSの支援事業にもなっております。
またその活動は50社以上のメディアにも紹介されました。
詳細についてはコチラをご覧ください。
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